第四回ナロラボ杯【ク・リーグ】 結果発表

第四回ナロラボ杯【ク・リーグ】 結果発表

お待たせいたしました!
『激辛短編小説批評企画』
第四回ナロラボ杯【ク・リーグ】の評価シートを公開させていただきます

※この企画は個人サイトの自主企画です。何か企業が企画を行っているわけではありません。

企画概要

この企画は当サイト『ナロラボの調査結果』が主催する評価シート付きのWEB短編小説批評企画です。今回は「セ・リーグ/パ・リーグ/日本シリーズ」のようなプロ野球方式で行っています。

このページでは【ク・リーグ】の結果発表を行います。

※全体的な説明はこちらをご覧ください。

評価ルール

評価ルールは第三回までとルールは変わりません。
参加した短編小説全てに以下のような評価シートを作り、各サイトで公開します。

作品の評価については歴代の結果を参考にしてください。

評価レビュアーの3名紹介(ク・リーグ限定)

クロスグリ(ク・リーグ主催レビュアー)
文学とライトノベルを愛する元ライター。(最近、ブロガーに転生)。他人の文章にはうるさく、一癖ある作品が好み。短編作品においては無駄の少なさとオチを重視いたします。好きな短編小説は、時雨沢恵一「キノの旅」web小説やライター活動の専門サイトを運営中。主にハウツー記事を掲載しています。依頼制の作品レビューもしている。

ゲストレビュアー


美風慶伍
怒涛の60本レビュー連続投稿でレビュワーデビューした怪人。SFアクションの特攻装警グラウザーシリーズを中心にかなり昔からなろうに生息している。その上インターネット成立以前から小説同人界に居たと言う化石のような人。そのためか一部から『老師』と呼ばれる。
レビュー方針はその作品の面白さの核を徹底的に持ち上げると言うもの。その為、面白さの核心をさぐるため徹底的に読み込む。ただしダメ出しは非常に辛口で容赦ない


Victor
「小説家になろう」にて累計レビュー数2位。また同サイト内で自身の作品を連載中。
日本の反対側住地。毎日猛暑ばかりで、今日も暑いと漏らす。いつの間にレヴュー数がすごいことになっていたけれども、そんなことを気にすることなく面白い作品があれば勝手に紹介していくスタイル
※アイコンが当サイトに掲載権利のないものだったため、モザイクをかけています。

参加ルール

・各評価リーグの評価レビュアー全員が20作品を読み、五項目で評価。
項目は以下の五点。

・キャラクター
・世界観の作り込み
・表現の豊富さ
・構成 
・読みやすさ

 

・各レビュアーが付けた点数を平均化して総合評価を出します。

総合評価は以下の通りです。

総合評価S 23以上
総合評価A 23未満~20.5以上
総合評価B 20.5未満15.5以上
総合評価C 15.5未満~10以上
総合評価D 10未満

各レビュアーの個人得点・平均点等の詳細データは後日別ページに記載します。

それでは、各作品の評価シート公開に参ります!
※コメントと得点が合わない部分があるかと思いますが、それにつきましては後ほど公開される個人評価ページをご覧いただきたいと思います。

評価S(総合評価23.0以上)

今回は総合評価Sが出ました!!

カナリアの空 https://
ncode.syosetu
.com/n7296ei/
Veilchen

総合得点 23.5

感想:今回ク・リーグでは書籍化作家は参加していないとのことだが「あれ、プロの……それもだいぶ手練れの方が遊びにいらっしゃったな」と思うほどクオリティが高かった。文体が独特すぎ……それと序盤の説明不足によって読みづらい箇所はあるのだが、それ以外は短編作品としてほぼ完璧。作者は文章で飯を食えるはずなので、小説云々は置いといてマネタイズとセルフプロデュースの勉強を優先したほうがいい。(クロスグリ)

他のレビュアーのコメント:キャラの作り込みが恐ろしく高レベル、登場人物たちの人と成りが理解でき、彼らの存在がドラマの中でしっかりと把握できたなら、その悲劇的な素晴らしいドラマ情景を心から堪能することが出来るはず。だがそれだけに冒頭部が恐ろしくもったいない。カナリアとスポットと言う二人のキャラを把握し理解することがとても困難に感じた。人なのか、擬人化された動物なのか、動物その物なのか、読初の段階では理解することは殆どできない。読み進めてかなり立ってから『あぁ、こういうことだったのか』と腑に落ちる状況は短編としては失格の域。だが説明過剰はネタバレになるので、ネタバレにならないレベルで読者に対して適切に説明描写する事が最大の課題。それができれば満点も有り(美風)

他のレビュアーのコメント:最初はカナリアと犬のやり取りにしか見えなかったが少年少女であることに気付き、序盤から張られていく伏線が後半で目にわかるように説明されていく流れはよい。夢を見る少女カナリアは己の命が短いことを知りながらもスポットに隠していたのは少しでも彼に思い出を残し、楽しい時間を共有したかったかもしれない。15000字以内短編でこれだけできるとはすごい(Victor)

「ウナギが滅びそうなら、ウサギを食べればいいじゃない」と言ったら、数年後に大学が肉食女子の楽園と化した話 https://
ncode.syosetu.com
/n6681ee/
トファナ水

総合得点:23.33333333

感想:起承転結がしっかりしており、外来留学女性、草食男子、ウナギとウサギ、学生ビジネス、おねショタ、リア充とユニークキーワードがたっぷりはいった恋愛娯楽系の好作品。主人公の不幸なスタート地点から幸せが増し増しで積み重ねられていく過程がとにかく楽しい! ただし、単に楽しいだけの作品ではなく、両親の突然の死去、就職先である大学からの解雇、と言う人生の大ダメージから二人の主人公が互いに知恵を出し合いながら困難を一つ一つ乗り越えていく過程が想像以上にドラマチックだ。だからこそ、その幸せなクライマックスへとたどり着く過程がたまらなく楽しいし、作品タイトルへと繋がるラストのオチが恐ろしく秀悦なのだ。文句なしのS評価である(美風)

他のレビュアーのコメント:強いて言うならばウサギ肉美味しそう。タイトルからは予想できない内容で、このようなビジネスは現実的で興味深く、浮かび上がる問題など解決しながら進んでいく物語はとても読みやすく、楽しいものです。あとウサギ肉食べたいです。(Victor)

他のレビュアーのコメント:ウナギ絶滅対策のシュミレーションとして非常に面白かった。具体性の高い文章には説得力があったし、サブプロット部分も楽しめた。ウナギ対策から子作りへともっていくオチは至極自然な流れでいて、ラブコメに始まりラブコメに終わるという、綺麗なオチだった。(クロスグリ)

上記の二作品の作者様は次回以降「書籍化作家枠」と同じ扱いになり、優先期間に参加が可能です。
(ただし参加枠は書籍化作家さんと合わせて5枠の中に入ります)。

 

評価A(20.5以上 総合点公開します

ブリキの国 https://
ncode.syosetu.com
/n2053ei/
永川 千

総合得点:22.83333333

感想:エンターテイメントとしての基本をしっかり抑えている、隙のない作品。情報量や構成などに無駄はなく、娯楽作品としての目的からいっさいブレていない。読み手としてではなく、書き手として唸らされる作品だった。(クロスグリ)

他のレビュアーのコメント:一人称単視点と言う構成を効果的に利用した技巧派な作品。作品の〝視点〟の持ちぬしである主人公。その主人公の口から『ブリキの兵隊』と言うキーワードがより印象的なシンボルとして作中に度々登場する。そして、追い詰められた心理状態の中で主人公は自らが奪われた物と奪った者についての心情を吐露して、それを戦う動機とするのだが、それが物語が進む中で意味合いが少しづつ変わっている事に気付かされるだろう。その認識が変化していく中で〝事実〟に気づく過程が感傷的に物悲しく表される過程が素晴らしい。ただ繰り返されるフレーズと主観から見る逃走劇と言う性格上若干の読みづらさががあるのが難点。(美風)

他のレビュアーのコメント:ブリキの視点から見た世界。短編として広げ過ぎず浅過ぎずにうまい具合に話をまとめているこの作品は素晴らしく、感情を持たぬブリキが絶望というのを味わう瞬間もまた面白いものでした。(Victor)

身長三センチの人妻 https://
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.com/n7334eh/
由斐レギナ

総合得点:22.5

感想:意表を突く語りだしは奇抜なコンセプトでありながら、単に奇をてらっただけの展開にしない志の高さが作者には有る。そのドラマの過程の中で描かれている3センチの奥さんにまつわる描写や描かれる設定のすべてが、見事な伏線としてラストシーンへとつながっているのである。微笑ましいコメディドラマから夫婦の絆を再確認するシリアス劇へと大転換し結実する展開が素晴らしい。著者の構成力の高さと非凡さを感じさせてくれる。ラストシーンにとにかく惹かれる作品である。(美風) 

他のレビュアーのコメント:コメディかと思えばそうではなく、だけどもくすりと笑える明るいシーンから後半からのまさかの展開へと至る。あっさりとしていて、それでいて読み応えのある作品を味わうのは久々だったので作者の力量がうかがえる(Victor)

他のレビュアーのコメント:シンプルなコメディとして面白かった。ただ後半がややつなげた感があるのと……オチはやっぱりコメディで落としてほしかった。キャラクターが特に光っていて、あまり説明がないのにヒロインをキャラ立ちできているところが、全体の高評価につながった。(クロスグリ)

意地っ張りな魔女殿へ~依頼と、そして報酬を~ https://
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.com/n8746eh/
向日葵きいろ

総合得点:21.5

感想 登場人物の作り込みが、世界観や登場人物の関係性にまでしっかりと及んでいる力作。基礎となる背景設定が丹念に構築されていて、短編作品でも手を抜こうとしない作者の真面目さが現れている。また『この人物はこういう人でした』的な登場人物の裏設定や背景事情が物語の進行に合わせて少しづつ詳らかされていくその過程が素晴らしく、ヒロインと貴族の若者の立ち振舞と関係性が、様々な印象を万華鏡のごとく読者へと与えてくれる。ファンタジーとしても恋愛譚としてもクオリティはひじょうに高い。読んでいて何度もニヤニヤさせられた。(美風)

他のレビュアーのコメント:プロットの段階でサイズが大きくなりすぎて、短編という形に収まらなくなった典型的な作品。この話だけでは大した意味は生まれないが、短編連作という形であれば可能性は大いに感じる。作者はもっと色んなシーンや描写を書きたかっただろうし、土台は整っているのだから続きを書こうと思えば書けるだろう。(クロスグリ)

他のレビュアーのコメント:可愛らしい魔女と彼女に毎回のように依頼を持ち込む青年の話は出来がよく、魔女に吸血鬼、青年との完成性もしっかりと現れているのもたまりません。終盤に近付くと思わずにやにやとしてしまう作品なのでごちそう様です(Victor)

祭りの夜 https://
ncode.syosetu
.com/n4039ec/
白藤結

感想:文句なしです。Sの上のSSを設けて欲しいくらいです。昔語り風の文体で書かれる昔話譚、そして〝祭り〟〝村〟〝掟〟と言う普遍的なファクターを核にして主人公の少女に降りかかる困難と、それを救ってくれる〝あの人〟、そしてそれにまつわる因縁と宿命――物悲しさが漂うはずなのに素晴らしいまでの感動を味わえる読後感に魅了された。文章としてのテクニカルな部分もしっかりしており、なによりWEB小説と言う制限をしっかりと理解した上での文章の仕上がりは作者自身の技量の高さが伝わってくる。まさにお見事である。(美風
※総合評価とは意見が食い違う部分があるとおもいますが、個人評価をお待ちください。

他のレビュアーのコメント:惚れ惚れしました。和風で幻想的な物語に惹き込まれてしまいそうになるほど、素敵です。クオリティが高く、もう少しだけ読んでいたいと思うのは私のわがままかもしれない。(Vicotr)

他のレビュアーのコメント:雰囲気は良いのだが、説明が多すぎるがゆえに世界に入り込みづらかった。これでは舞台を書いただけに過ぎず、キャラクターや物語に味わいがない。(クロスグリ)

食肉の青空 https://
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.com/n9407eh/
草よしか

総合得点:21.33333333

感想:食人と言うショッキングなテーマが目を引くが単に読者の興味を煽るだけの作品ではない。丁寧な語りだしからエルフと言うものの置かれている状況が読者に対して深い疑念と好奇心を煽り立ててくる。そして、ヒロインの純粋な行動と立ち振舞に魅了されずにはいられない。それだけにここから先、どうなるのだろう? と思わずにはいられないのだ。それだけに後半の怒涛のような急展開の中での登場人物たちが抱くであろう葛藤や義憤や希望や苛立ちなどが交錯して見事なまでのドラマ展開は圧巻である。ただクライマックスからラストにかけての、最終的な受け取り方を読者に委ねる形式の話運びは意見が別れると思う。説明不足に感じれば折角の感動も未消化になるのだ(美風)

他のレビュアーのコメント:エルフを食べることが当たり前な世界の中で優秀な個体の世話をすることで、少しづつ己がこれまでしてきたことを顧みて、揺らぐ青年。それはきっと運命だったかもしれない。一風変わった作品であるが個性が非常に強く、味わい深いとも言える。(Victor)

他のレビュアーのコメント:終盤が非常にもったいなく感じた。食肉を題材にした作品にありがちな「家畜は食べてもらうことに存在意義がある」というキリスト教的観点が提示されているのだが、その思想がどこに行ったのかエルフたちは逃げてしまう。そうした小さな矛盾をきっかけに終盤からオチが弱くなってしまっている。(クロスグリ)

目の見えない猫 https://
ncode.syosetu.com
/n4906ei/

総合得点:20.5

感想:抽象的な文章物語としては、個人的には好きな作品だった。しかし、童話にせよ文学にせよ、何かがひとつ足りないというのが正直なところ。童話であれば教訓を明確にしてもらわないと困るし、文学であれば読者が立ち止まって考えてしまうようなものが欲しくなる。母親という生き物を描いたエンタメとしてなら悪くはないが……それでも「猫にする意味はあった?」という疑問が浮かび上がる。(クロスグリ) 

他のレビュアーのコメント:キャラクターとしての猫の母子がよくできている。だがそれだけに文章のスタイルや文体やレトリックが、童話風になりきっていないのが非常に残念。どうせここまで書くなら、まんが日本昔ばなしも裸足で逃げ出すくらいの古典的物語文章にこだわってほしかった。文体のリズムが単調で淡々とした語り口が返って物語の雰囲気を平坦にしてしまっているのも気になる。構成やキャラクターは文句なしにいい。それだけにその良点を効果的に読者へと伝えきれていないのが悔やまれる。文章その物で読者を酔わせることも重要なのだ。(美風)

他のレビュアーのコメント:雌猫の愛によって生かされる目の見えない子供。目が見えない世界の中、唯一頼れるのは母親のみだけで、彼女は必至に子供も生かそうとする姿はまさに愛にあふれている。自然と動物のみの世界の中で描かれているこの作品には目が離せないほどによかったです(Victor)

評価B(20.5未満)

※評価Aに惜しかった作品は得点を公開します。

桜の花びらが雨に散らされる https://
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.com/n4978ei/
かめこ

総合評価 20.33333333

感想 非常に印象的なタイトルが目を引く作品。タイトルのその意味が気になり物語を読み始めると、古き良き時代の日本に存在した繊細さを宿した乙女少女が魅力的に描かれている。そして憧れと現実の間で揺れている姿に惹かれているうちに、ヒロインの周りの2人の男性のシナリオ上の立ち位置が、見事なまでに味方役/敵役とで目まぐるしく変化していく。そしてクライマックスにおいてヒロインの幸せには誰がふさわしいかが必殺技の様に鮮明に描かれて爽快感すらある。ラストシーンの甘々なシーンでニヤリとさせられる秀作である。ただ冒頭部のお見合いに至る部分の前後の展開がもどかしい印象がある。その辺りをもっと整理し、見合い相手との展開に力を注いだ方が良いのではとも思う(美風)

他のレビュアーのコメント:昔の日本さながらお見合いしなきゃいけない時代〈だった〉?隣に住む青年のことが忘れられない少女の想いだが、お見合い相手と出会ってから少しずつ変わろうと見える。年頃の少女の複雑な想いが描かれていることがいい。タイトルの意味は終盤になって初めて明かされることになり、面白い。(Victor)

他のレビュアーのコメント:「これが長編だったら、もっと評価点数を上げられたんだろうな」と思った。恋愛だけで短編を書くのは難しく、短編では積み重ねができないため、どうしてもキャラクターに情が入りにくくなる。後は「今時親同士が結婚相手を決めるのだろうか」と気にしてしまう読者も一定数いると思うので、最低限の説明はあったほうがいいだろう。(クロスグリ)

踵鳴る。 https://
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.com/n2985ec/
呑竜

総合得点 20.3333333

感想 過去が現在へと意味深な伏線を伴って関わり合う構成の恋愛ドラマの教科書みたいな好作品。舞台設定としての地名、登場人物たちの職業や社会背景、それぞれの登場人物の過去経歴、そして作品の文章表現の中に見え隠れする『時間軸』この時間経過の雰囲気と気配がドラマチックな恋愛劇の秀悦なるラストシーンとして結実するあたりは見事である。タイトルも伏線として十分機能している辺りもお見事である。文句なしのSランク作品である。ただ冒頭部のモノローグを理解把握するのに若干慣れを要した。特に尾形なる人物の性別が冒頭ではさっぱりわからない。オチ近くでようやくわかった。ほんの一言の付け足しで良いのに勿体無い。(美風)

他のレビュアーのコメント:舞台設定と、その説明のしかたは良かった。しかし、それ以降のシナリオがあまり練られておらず、話を終わらすために取ってつけたような感じがした。ご都合主義的な偶然自体は別に問題はないのだが、オチに「偶然だな」以上の感情が湧いてこない。(クロスグリ)

他のレビュアーのコメント:過去の回想から始まり、男性は仕事の同僚と飲み徐々に彼女が話を絶妙にかみ合わせていき、やがて女性がかつての少女だと知る流れまでとても自然でした。もう少し読んでいたい、または彼らの今後とかも気になってしまう(Victor)

男になってしまった私と可愛い女性部下の攻防 https://
ncode.syosetu
.com/n4105ei/
すず(Sn)

総合点 20.16667

感想 男性であることに能力は認められ、女性であるから能力は認められない。そんな理不尽な世界。タイトルから男性になることはわかってましたが、部下ができてから理不尽な世界に抗うために逃げることなく最善を尽くす姿がいい。淡々と進められるもキャラの動きや世界観の流れも悪くはなく、一言言いたいのははよ部下を幸せにしてあげろでしょうね(Victor)

他のレビュアーのコメント:性転換物のジャンル作品だがマニアックな印象はない。むしろ魔法が必要テクノロジーとして世界に浸透している世界観で語られる男女性差による差別をテーマにした真面目な問題提起物の印象。性差別と言う極めて現実的な問題に対して、主人公が女性視点から男性視点へと変わることで男性の側も女性に対して超えられない壁を抱えていることがさり気なく描写される。だがその問題提起的な部分が重すぎ作品全体のカラーを沈んだグレーな物にしてしまっている。そのため作者の意図が問題提起にあるのか人間ドラマにあるのか性転換娯楽作にあるのか判然とせず完全にぼやけている。行を詰め気味の文章と言うこともありスッキリせずラストシーンもモヤモヤとした物が残る(美風)

他のレビュアーのコメント:TS百合に完全特化した話として、非常に良い出来だった。物語や舞台設定は単体で成り立っていて、かつそれらが百合の良さを際立たせるものとして機能している。最も魅せるべきところをわきまえつつ、その他を疎かにしない作家の鑑といえる。ただ、主人公の目的が早めに解消されたせいで、オチが少し弱くなったのが残念。(クロスグリ)

大人の時間 https://
ncode.syosetu
.com/n7035ei/
おーい十六茶

総合得点 20.0

感想 一人称視点で語られ、夢であるコロンデザイナーかそれとも親と同じ教師にするのか迷う少女。どちらかを迷い、葛藤する少女にそっと背中を押す主人公はすでに通った道だったためにアドバイスすることで不安を取り除こうとしている。結果として成功したのはやはり背中を押される必要性があったからなんでしょうね。(Victor)

他のレビュアーのコメント:夢や目標をテーマにした作品だが、キャラクターたちに熱量はあまり感じなかった。特に十代の女の子は進路について親と喧嘩するくらいの夢があるのに、主人公にそれを否定されても笑うふりをする余裕がある。キャラクターごとの価値観に差を感じなかったし、オチはハッピーエンド風だが何がハッピーなのか分からない。(クロスグリ)

他のレビュアーのコメント:夢を追うことを物語の根幹に据えた人間ドラマ、登場人物たちの心の機微が細かに描かれているのが好感触。短編という枠の中で見事ドラマテーリングが展開されていて、プロット作業をよっぽど丁寧におこなったんだろうなぁと思わせてくれる。そのプロットの丁寧さが登場人物たちを生き生きとさせている。だがそれだけにWEB環境・液晶画面に対応していない詰め込み型の文章表現なので、とにかく読みづらい。液晶画面の目の負担に配慮した結果、今日普及しているWEB小説用の文章作法がある。それさえ改善すればもっと上を狙える作品だ。一考を求む。(美風)

終末世界のラグナロク https://
ncode.syosetu.com
/n5679ei/
ルト

総合評価19.5

感想 とにかくSFと戦闘描写が描きたいんだ! ……という気持ちがひしひしと伝わる作品。あまりにも尖りすぎているため点数をつけるのなら総合評価は落ちるのだが、個人的には楽しめた。ただマニアックなため万人受けする作りではない。オチはその後の物語を想像させる形で、好きな人にはグサッとくるものがあるだろう。ただ、「これ連載作品にしないの?」という気持ちはぬぐえない。(クロスグリ)

他のレビュアーのコメント:大きな世界の1エピソードを上手く短編に落とし込めた作品。構成としては成功しているが一人称で書かれているためSF戦記物としてテクニカル面での表現が解りにくく読者の理解を突き放している。SFが敬遠される最大の理由である『SF特有の技術的レトリックが凝っていれば凝っているほど読者を突き放す』と言うジンクスに見事にハマってしまってる。救いを求める少女と英雄の交流譚という素晴らしいファクターを宿しているのに非常にもったいない。今日SFで物語を展開するなら、SFに詳しくないジャンル外の人でも幅広く受け入れられる〝わかり易さ〟が重要になる。一人称ではなく三人称単視点での描写の方が良かったのではないだろうか? 非常に惜しい作品である(美風)

他のレビュアーのコメント:長い間眠らされていた機械仕掛けの英雄のレプリカと彼を探し求める少女の流れはよかったですが、三人称であればまた異なる視点で語られたと思いますと少しだけもったいないと感じました。短編にするのは厳しい設定、だけども長編にすればまた異なる面白さがあったかと(Victor)

青空の君 https://
ncode.syosetu.com
/n5324ei/
クラン

感想 登校拒否という非常にストレートで読者に対してダイレクトなテーマが印象的な作品。主人公である〝私〟の心の動きが克明に示されていて非常に読みやすく主人公への感情移入もし易い良作である。主人公に強い影響を与えていた〝母親〟との関わり合いの変化が丹念かつ丁寧に示されているのが高得点。またもう一人のキーパーソンである〝君〟の存在がユニークであり捉え所のないキャラ性が作品のファンタジー感をより高めている。だが同時に〝君〟の正体不明のキャラ性が微妙であり不可思議なトリックスターとして正体不明のままフェードアウトする展開は読者によっては賛否がわかれるだろう。(美風)

他のレビュアーのコメント:主人公の生きづらさを、男女の関係によって救済しようという話なのだろうが、直接的な解決になっているかというと微妙。物語全体で見た時に「なんとなく良い方向になった」という結末になっているのが惜しい。ティーンラブとして、もう一歩進んだ男女関係であれば説得力が違っただろう。(クロスグリ)

他のレビュアーのコメント:登校拒否の主人公視点からの作品。「君」と出会うことで徐々に変化していくことを自覚していく主人公、感情移入もしやすくわかりやすいテーマ。「君」との出会いがきっかけでこれまで避けていた「母親」と触れ合い出すところが気に入りました。(Victor)

素晴らしき愛をもう一度 https:/
ncode.syosetu.com
/n5061ei/
桃丞優綰

感想 疑問符、感嘆符を使うことない作品は珍しく、短編ながらもよかった。薬物に溺れる前の女性に言葉で救われた男性が再び彼女と出会い、好きであることを自覚して共に生きようとする姿もまた一つの愛かもしれません。(Victor)

他のレビュアーのコメント:答えのないクイズのような作品だった。心理学を絡めた人文学として見るのであれば答えがほしいところなのだが、箱庭療法のようなアートセラピーとして見ればなかなかの良作といえる。これは普通の小説ではなく、ある種の精神分析的観点をもたないと楽しむことはできないため、読む人を選ぶだろう。(クロスグリ)

他のレビュアーのコメント:登場人物たちの不気味さ、薄ら寒さを突き放した視点で楽しむ意味の作品だと感じた。一組の男女の救いようのない破滅的な恋愛の顛末を男性側の一方的な視点でのみ語られるものだ。ただ――正直、読み物語りとして〝面白い〟か? と言う言うことを考えるとひたすら下向きのベクトルで堕ちて行くだけの物語運びにはどうしても〝引いて〟しまう。文章も丁寧で、わかりやすく展開もなかなかうまくできているだけに、登場人物そのものの魅力と惹きと言う所で主人公とその彼女に入り込めない。私個人としては――と書いてしまうが作品の中に入り込める人間を物凄く選ぶ作品だと思う。いわゆる万人受けな作品ではないことは確かだ。(美風)

きみだけがいない物語 https://
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/n6881ei/
八雲 辰毘古

感想 独特の構成が目を引く作品。独白文と対話文が交互に織りなされ、主人公の内面の変化が非常に細かく丹念に描かれているのが好感触。だがその独白文と対話文が交互構成が難点でもあり、作者の挑戦的な試みは良い面悪い面が両方出ている。物語の根幹が主人公の内面にのみあり、外界の変化はきっかけでしかない。わざわざ見出しを付けて〝線引き〟する必要はあるのだろうか? 作者が演出として施した〝線引き〟が、作品の流れと読者が得るであろう没入感を阻害することだって考えられるのだ。線引きで現れる見出しが邪魔に思える読者も居るだろう。むしろ短編枠であり文章も主人公視点の一人称なので、線引きで流れを断ち切らないほうがよかったのではないだろうか?。(美風)

他のレビュアーのコメント:ガイア理論めいたものを土台にして、時間と記憶をテーマにした作品。題材としては非常に興味をそそられるものがあるのだが、いかんせん料理の仕方が中途半端に感じる。読む人によってはなんのことか全然わからないだろうし、散りばめられた謎が収束できていないから、結論があやふやになっている。ただSF文学としては可能性を感じるので、個人的には長編で読みたいと思った。(クロスグリ)

他のレビュアーのコメント:独特の構成、線引きされることなくそのまま物語を続けていても違和感がない。「ようやく会えた」は青年と彼女の言葉の意味がわかるとそういうことなのかと納得できます。序盤の青年は覇気がなかったものの、終盤にはすっかり変わった彼が描かれているのは受け入れた証拠だからか。(Victor)

SNSの恋人 https://
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.com/n6175ei/
阿井 りいあ

感想 ネット恋愛と言う相手の見えない恋愛における、一人芝居にも似たこっ恥ずかしい一人相撲が微笑ましい現代風の恋愛譚。オチのブラックさがネットと言う空間の不気味さ厄介さをはっきりと現していて着想とコンセプトとしては非常に面白いと思った。だがストーリーとしてはそこまでで文章量的にも予定調和のレベルを抜け出れていない。伏線としても多分こうだろうか? と言う読みはじめの疑問そのままだったのでかなりがっかり。ネットやSNSに詳しい人間なら想定可能な範囲のオチだからだ。なによりレトリックとして文字表現としての書込みに工夫や配慮がなくネタバレしている部分もあり、興ざめさせられた。(美風)

他のレビュアーのコメント:技術としては平均的な作品であるのだが、この作品の狙いとしては微妙に感じた。おそらくミスリードによる意外性を演出したかったのだろうが、選択肢が少ないがゆえに読めてしまった。(クロスグリ)

他のレビュアーのコメント:ネットによって起きてしまいそうな問題をうまく取り扱った作品は好感が持てました。いまでは回線さえあれば地球の反対側との人と話し合うことさえできる時代なので、こうして小説にされて読むといつ起きてもおかしくないなと。(Victor)

はみ☆ミミ https://
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.com/n8955bq/
東雲 飛鶴

感想 キャラクターの完成度はかなり高い。ある意味お見事である。また異種族男性が正体を隠して人間との恋愛劇と言う丁々発止ぶりも見ていて小気味が良い。ドラマ展開としてはまぁまぁである。だがヒロインの唯と主人公の猫又のそれぞれの視点と言う複数視点のドラマ構成であるため、それを追うのが少々つらい。事実上のダブル主人公なのだが、この構成で一人称複数視点文章は全体構成に対してはマイナスとして働いている。文章もやや行間を詰め過ぎか、もう少しみやすさに配慮を求む所。(美風)

他のレビュアーのコメント:一人称で視点移動するのはマイナスに働くことが多いのだが、この作品に関しては頑張っていると感じた。だが視点移動ゆえの読みにくさと「三人称視点で良かったんじゃ?」問題は残っており、文章・構成ともに減点。少女漫画的なキャラクターが良かっただけに、惜しい作品となってしまった。(クロスグリ)

他のレビュアーのコメント:なにこれ可愛い。人間と猫の恋愛事情。飼い主はいつも彼氏にフラれ、その度に飼い猫に愚痴るおかげで猫はそんな彼女を守りたくなって必死に修行し、人となってからは誰にも近づけさせないために傍にいる。面白いのだけども視点切り替えなし、または分けておけばよかったじゃないかと思う。(Victor)

霧の世界 https://
ncode.syosetu
.com/n6077ei/
石化

感想 設定は奇抜でものすごく目を引く。だが残念ながらそこまでで背景世界設定が登場人物たちのキャラ立ちに及ぶまでの深さを持っているかというとかなり疑問。はっきり言うと背景世界設定が斬新と言う以上の深さと奥行きが無い。主人公であるはずの少年少女も世界設定を表すための〝記号〟と化してしまっている。ラスト近くの空白行の多さに正直いらだちを感じた。世界観を活かしたドラマ展開を冒頭からラストまで貫くことも出来るはずだ。その意味でも全てにおいて煮詰め不足感が否めなかった。(美風)

他のレビュアーのコメント:神話の天地創造のような感じに思える霧によって出来上がっていく世界なのだが、期待して読み進めていくと少年と少女のやり取りよりもその後というのあってもよかったではないかと。結論に至った者たち皆神隠しに遭うのは世界の毒なのはわかったが、彼らは未来永劫そこに留まり続けると考えるとげんなりしてしまう(Victor)

他のレビュアーのコメント:世界5分前仮説を唱えているだけで終わってしまった……というのが正直な感想。それだけでは舞台を書いただけに過ぎず、それ以上のものが見つからない。この手のものは思考実験になりがちで、読者としても「作者なりの未来予測と、その結論」が気になってしまう。雰囲気を楽しむための作品なのかもしれないが、それでも文章量が足りない。(クロスグリ)

評価C 15.5未満~10以上

該当なし

評価D 10未満

水の惑星 https://
ncode.syosetu.com
/n1456ed/
かんらくらんか

感想 ワンアイデアで作られた作品。しかし、そのアイデア以外の部分があまり練られていないのが残念だった。読みづらい箇所もあるため、推敲不足を感じた。(クロスグリ)

他のレビュアーのコメント:序盤はSfかなと思いながらも読み進めていくとなんだこれは、と口にしたくなるようなものでしたが別の「あれ」さえだった場合はまた異なることを言えました。(Victor)

他のレビュアーのコメント:まぁナンセンスSFとして構成されていると理解できないことも無いのだが……いかんせん『下品』過ぎる。この作品を見ていて思い出したのはお盆芸で叩かれているお笑い芸人のあきら100%だ。『面白い!』『いやあんなの芸ではない!』賛否両論真っ二つ。特に品位やモラルやポリシーを重視する重鎮たちには散々だった。笑点の歌丸師匠が『あんなの芸じゃない』と立腹していたが私も同感だ。この作品においてはそれと同じ状況だと思う。笑って楽しめる読者も居るだろう。だが自分自ら作品を書く人間として言いたい。少なくとも多くの人が集まり20作品と言う限られた参加枠を競い合う場に出す作品ではない(美風)

個人賞

さてここからは個人賞の発表に移ります。
個人賞は基本「評価とは関係なくすばらしい!」「気に入ったぞこの作品!」と思ったものを評価レビュアーが個人的に選ぶものになります。基本的にプレゼント等はありませんが、レビュアーがツイッターや活動報告等で作品名を紹介してくれます

Kakukaku賞]

男になってしまった私と可愛い女性部下の攻防 https://
ncode.syosetu
.com/n4105ei/
すず(Sn)

上記の作品の作者にはクロスグリさんが[Kakukaku]にて長文レビューするそうです。おめでとうございます!

美風慶伍賞

祭りの夜 https://
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白藤結

美風さんが選んだ短編小説は『祭りの夜』です!おめでとうございます!

Victor賞

踵鳴る。 https://
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呑竜

Victorさんが選んだ短編小説は『踵鳴る。』です!おめでとうございます!

評価の最後になりますが、今回評価を公開された全ての作者様、そして評価レビュアーとして協力してくれた3人には心から感謝を申し上げます。

また評価の仕方等の質問には答えられません。

個人評価S作品・各レビュアーの評価一覧の発表は後日させていただきます。

総評は19日の「プレーオフの結果発表」後におこないたいと思います。