第四回ナロラボ杯【ナ・リーグ】 結果発表

第四回ナロラボ杯【ナ・リーグ】 結果発表

お待たせいたしました!
『激辛短編小説批評企画』
第四回ナロラボ杯【ナ・リーグ】の評価シートを公開させていただきます

※この企画は個人サイトの自主企画です。何か企業が企画を行っているわけではありません。

企画概要

この企画は当サイト『ナロラボの調査結果』が主催する評価シート付きのWEB短編小説批評企画です。今回は「セ・リーグ/パ・リーグ/日本シリーズ」のようなプロ野球方式で行っています。

このページでは【ナ・リーグ】の結果発表を行います。

※全体的な説明はこちらをご覧ください。

評価ルール

評価ルールは第三回までとルールは変わりません。
参加した短編小説全てに以下のような評価シートを作り、各サイトで公開します。

作品の評価については歴代の結果を参考にしてください。

 

 

評価レビュアーの3名紹介(ナ・リーグ限定)

ナロラボ(ナ・リーグ主催レビュアー)
当サイト管理人。第一回~第三回ナロラボ杯主催者兼レビュアー。普段はWeb小説投稿に役立つ情報を集めるアンケートなどをおこなっています。第三回ナロラボ杯で短編小説の評価経験は80作品に到達。好きな短編小説は乙一「ZOO」など。最近、企画の影響で絡んだこともない中高生なろうユーザーさん複数名から突然すぎる長編の添削依頼をDMで受けたので「小説ならなんでも感想をくれる人」ではないことを一応書いておく。すまん。読みタグ使ってる人に頼んでくれ。

ゲストレビュアー

秋月 くらげ
Web小説よりも公募を中心に小説創作を行う作家志望さん。Twitter上で「#RTした人の小説を読みに行く」のタグを利用した小説へのコメントが他の方に比べて圧倒的に丁寧だったので、今回お声がけさせていただいた。公募に専念するため、Webでの活動を控えているが一か月前まで読みタグを使った作品へのアドバイスを頻繁に行っていた。「『感想』を一切言わない」「良い部分・気になる部分を必ず述べる」「作品自体を否定するようなレビューはしない主義」を徹底したコメントをしてくれるレビュアーさん。


えくぼ
なろう書き手ユーザー。「小説家になろう」における作品の公開文字数の合計は100万文字を超える。第二回ナロラボ杯参加者アンケートにて参加者から推薦の声があったことが決め手となり、ナロラボが直接お声がけさせていただいた。70万字を超える大長編作品を完結させるだけでなく、ホラーや恋愛を中心とした3000字ほどの掌編小説をいくつか発表している。熱心に感想を書くあまり、制限がなければすべての作品に1000字以上の感想を必ず書いてしまうような「他人の作品に嘘をつかない真摯な感想を書く」レビュアーさんである。

 

参加ルール

 

・各評価リーグの評価レビュアー全員が20作品を読み、五項目で評価。
項目は以下の五点。

・キャラクター
・世界観の作り込み
・表現の豊富さ
・構成 
・読みやすさ

 

・各レビュアーが付けた点数を平均化して総合評価を出します。

総合評価は以下の通りです。

総合評価S 23以上
総合評価A 23未満~20.5以上
総合評価B 20.5未満15.5以上
総合評価C 15.5未満~10以上
総合評価D 10未満

各レビュアーの個人得点・平均点等の詳細データは後日別ページに記載します。

それでは、各作品の評価シート公開に参ります!
※コメントと得点が合わない部分があるかと思いますが、それにつきましては後ほど公開される個人評価ページをご覧いただきたいと思います。

評価S(総合評価23.0以上)

 

該当作品なし。

(今回も評価素人の癖になんか厳しくてすいません!!!!)

評価A(20.5以上 総合点公開します)

ポニーテールは超能力と共に https://
ncode.syosetu
.com/n7355ei/
 三衣 千月

総合評価:20.66666667

感想:面白かった。あえていうなら視点切り替えの時と、超能力の使い方もう一言あった方がわかりやすいが、それを除けば描写や説明に不足はなく引き込むような文章構成になっているだろう。一つ一つの描写が綺麗である。また、一人称によるミスリードはよくある手法だが、よくあるからとばかりにさらっと本筋とは別のところで使い切ってしまう思い切りの良さが良い。2人のやりとりの中に超能力の有無を感じさせる情報配置にキャラの性格を示す思想語りと丁寧な印象を受ける。ギミックそのものはてっきりサボテンを用意したのはサボテンは人の感情を理解するとかそんな噂に関係があるのかとばかり。能力によって変化した感情について戻ってない件について、罪悪感は残るが。(えくぼ) 

他のレビュアーのコメント:面白いし、読みやすくもあります。しかし漢字を多用しているので流し読みしたくなる節がありました。なので、あえて平仮名を使い、読み手に躓かせるのも手です。しかし表現の使い方、キャラクターなどの設定で読みやすくなっているので、読みやすさはこの点数にしました。キャラクターに関してもとてもよい設定です。表現の多さにも脱帽しました。ですが表現を使い過ぎて、中々本文が頭に入ってきません。その点で0.5点低くしました。構成については良いと思います。ですが少し無理があるところがあったので4点。世界観の作り込みはもう少しでしょうか。期待しています。(秋月くらげ)

天国列車 https://
ncode.syosetu
.com/n5284eh/
 海水

総合評価:20.5

感想:シナリオ、キャラ、世界観、文章ともに素晴らしい作品。天国への入り口という舞台にうまくはまっていただろう。彼の在り方が冒頭できちんと見せたあとに、お婆さんとのやりとりで過去を明かすことで変化を見せている。彼の物語とお婆さんの物語が二重構造になっている構成。惜しいところがあるとすれば、場面転換がかなり唐突で前後に描写が不足しているので、どこにいるのか、転換シーンを最低限の説明から読み取らなければならない。もう少し変わった瞬間の描写があってもよいのではないだろうか。文章そのものは丁寧で綺麗な日本語で書かれており読みやすい。また、上にあげた物語を構成するそのほぼ全てが高水準なので、想像しやすい描写で場面転換ができていれば最高評価。(えくぼ)

他のレビュアーのコメント:地獄で働く少年が、猫が気がかりで成仏できないおばあさんのお願いを聞く話。閻魔大王という単語が出てきたので「鬼灯の冷徹」を思い出しましたが、コミカル寄りというよりもどちらかというと温かくて優しい話だと思いました。地獄の設定が練られていて、想像するのが楽しかったです。ある程度完成されているので特にこちらから話について言及するのは難しい作品なのですが、あえていうなら「おばあさんの話」中心のストーリーがラストで急に主人公の一人語りに変わってしまった印象があるので、猫の描写と主人公の生前の状況に見立てるなど、もう少し自然に結末に向けて話が書いてあるように見せる工夫があると良くなるのではないかと思います。(ナロラボ)

評価B 総合評価 20.5未満~15.5(Aに惜しかった作品は得点公開

巫女と狐はほどけない https://
ncode.syosetu
.com/n7019db/
ちょきんぎょ。

総合点:20.33333

感想:描写にほぼ過不足がなく適切かつ癖のない表現で構成されているため、非常に読みやすい。また、登場人物二人に徹底して焦点を当てているためシンプルなストーリーに仕上がっている。両者が思い合っているために、広く楽しめる作品となっているだろう。元来、かなり悲惨な狐の過去を、巫女を通して描写することでかなりマイルドになっているのではないだろうか。個人的にはここはもう少し力を入れて、狐の当時のショックをより鮮明に描いていた方が好みだったかもしれない。舞台背景である神社は導入としてがったり描写し、あとは巫女の考えや心に集中して描かれている。衝撃の強い場面と背景のかみ合わせなど他の選択肢はあるが、欠点の少ない作品。(えくぼ)

他のレビュアーのコメント:魅力的なキャラを文章にするのが上手だと思います!また「自分の書きたいキャラを書くこと」に注力するだけではなく、起承転結のバランスが本当に優れていて減点箇所がありませんでした!惜しむらくはキャラを掘り下げるための会話劇が少し多めに挿入されているため、各パートが均等に「余計に長い」という印象を受けます。「キャラにハマった」「作者のユーモアセンスが好き」な人からすれば加点ポイントにもなりえるので無理に削る必要はありません!私はそこまでキャラにハマれなかったので、個人的にはは「物語の進行に関係ない会話を減らし、映像としてインパクトの強い表現を増やす」方が文字数あたりの情報量が増すので、よりエンタメ的な良作になると感じました!(ナロラボ)

今更、キサラは呪われない https://
ncode.syosetu
.com/n3708ei/
七々八夕

総合点:19.83333333

感想:読んでいてワクワクする作品でした。キャラクターも良い味を出していますね。シリーズ作品として読んでみたいと思います。ライトノベル寄りですが、そこまで軽い感じは受けません、丁度良いです。技術面、表現の多さが良いですね。構成についてはもう少し伏線を入れてみてはどうでしょうか。後は、景色などの細かい描写が少なく物足りなかったです。ですが、世界観が良かったです。短編なので構成や設定を生かすのが大変だったと思います。序盤はゆっくりしていた反面、中盤から駆け足だと感じ、勿体ないです。ですが読んでいて楽しい作品でした。(秋月くらげ)

他のレビュアーのコメント:呪具売りの少女と訳アリの飼い猫のライトノベル系ストーリー。少し読みにくいところはありますが、猫の細かい顔の動きや鼻の動きをきっかけにセリフのテンションが変わりシーンが切り替わるなど、映像的な配置が非常に上手でした。煙や民族衣装などの小道具の使い方も雰囲気をより良いものにしていました。しいていうなら表情と色のバリエーションが「笑い」と「黒」に偏っていて引き出しがやや少ないのが単純すぎるかなと。「夜の世界とミステリアスな雰囲気」を別の表現で、より色彩豊かに描けると、世界観の幅が広がると思います。(ナロラボ)

牙も祈れば https://
ncode.syosetu
.com/n8874dr/
 とびらの

感想:漁師の遭難事件を「ペンダントの一人称」という特殊な書き方で描いた作品。こう書くと「夏と花火と私の死体」のような尖った話かと思えるのですが、どちらかといえば中学校の国語の教科書に載ってそうな「読みやすくて優しい」作品です。変わった書き方をしているのにここまで読みやすい作品を書けるのは腕のある作者さんだと思います。特殊な書き方にチャレンジした作品が多いナ・リーグでしたが、技法が内容の良さを引き立てていると感じた数少ない作品でした。欲を言えば「結」が少し長い点が気になりますが、短編としてまとまった良作でした。(ナロラボ)

他のレビュアーのコメント:説明の順番、構成についてもう少しこうしたら? ここに入れたら? という場面がチラホラと見られた。また、場面のつなぎについて牙の独白により読者に委ねる最低限の描写に留めている、ターゲットによってはもう少し描写してもよいのでは。父の人物評についても娘のペンダント自慢、美人扱いの2点から残りは説明によっている。   しかしストーリーとして牙視点とサメ知識、牙の祈りという2軸の魅力とプラスの、つまり良さを強調する人物描写、漁師たちのあり方など良さとして見られる部分も多い。欠点も長所もハッキリとした短編であり、人によって読みやすさ理解のしやすさが大きく異なるのではないかと思われる。なお、ラストのキャビアは構成的に削っても良さそうだ。(えくぼ)

息をするだけで生きていける優しい世界。 https://
ncode.syosetu
.com/n4720ei/
空伏空人

感想:タイトルからのミスリード。〇〇するだけで、というのはタイトルでも流行ったが、宣伝などで使われるハードルを下げるための常套句。それを冒頭から人類滅亡寸前といきなり裏切る。目を引くやり方である。キャラは現在については良い。独白調の一人称で進み、考え方、在り方のわかる描写が多い。一方で「過去の彼ら」がないため、苗乃が好きな理由なども不明。20年を感じさせる描写、嘘をついた理由などもほしい。文は読みやすくという点だけで見るならばもう少し推敲の余地はありそうだ。長くなりがちな一文の分割など。世界観は呼吸についてや抗体、人類存続などについてツッコミが多く、作り込みは甘いと思われる。(えくぼ)

他のレビュアーのコメント:誤字脱字が少し多いのが残念です。世界観、設定はとても楽しいものでした。短編としてまとまっています。ただ、技術面では多少劣ります。もう少し読みやすさを意識して書いてみてはいかがでしょうか。表現の多さは多いようで少ないので(同じ意味を持つ言葉を繰り返している)、多少意味が違うものを使ったり、将又、反対の意味を使って矛盾を作り出すと読んでいて楽しい作品になると思います。タイトルですが、もう少し含みを持ったものにすると読み手はワクワクするかもしれません。ですが、読んでいて楽しい作品でしたので、他の作品も気になりました。(秋月くらげ)

病気を治すために魔王を倒さなくちゃならない女の子のお話 https://
ncode.syosetu
.com/n5742cu/
 j多真澄
(応募フォームの入力はこの表記で間違いありません。表記に何らかの意図がある可能性があるので、訂正はできませんでした)

感想:読みやすく、そして面白くはあるのだけど一方で「これ短編か……」という感想。本来もっと長く書くべきストーリーのあらすじ、もしくは要約を読んでいるような話の流れである。オチとして「こういう理由で魔王倒しました」なのだけど最初から最後までその理由説明に当てている。回想あるいは説明、セリフにその全てを委ねており、今起きたことが極めて少ない。話が進むというよりは、既にある話を1から説明している、といったようだ。それが私の評価の上では構成やキャラ描写、世界観と全体にマイナス補正をかけている。理由、理屈の説明は非常にわかりやすい。何がどうしてこうなった、の物語の肝については説明しきっただろう。タイトルの魔王を倒すまでの話がない。(えくぼ)

他のレビュアーのコメント:個人的な話、今回応募された作品の中では一番好きです。「メタ要素の多い設定×過去の回想メイン」という人を選びそうな題材を扱っているので思うような評価は出ないかもしれませんが、素敵な作品だと思います。最初の「魔力が体から抜けてく感覚が気持ちいい。」という一文に「魔法の使用感覚の表現」として新鮮さを感じました。自分がそういった表現のある小説を読まないだけかもしれませんが、この一文は面白さを引き立てていると思います。後半もその表現が伏線となり、世界観設定を説明できたところに上手さを感じました。全体的に癖のある1人語りの多い一人称小説でしたが、視覚描写を中心に五感を表現する書き方が多かったので特に読みづらさを感じることはありませんでした。減点ポイントは特に見つかりませんでしたが、しいていうなら戦闘描写を省いた部分や話の閉じ方が短編で収まり切れてない印象があります。そこがもったいないかと思います。良作でした。(ナロラボ)

黒薔薇姫は断頭台の上で微笑む https://
ncode.syosetu
.com/n8393cb/
 しきみ彰

感想:読みやすく、すらすら読めました。ただすらすら読みやす過ぎる為、展開の速さ、甘さが気になる作品です。最後にどんでん返しを持ってくるのは良い手法です。ですが何故そうなったのか、等の経緯が曖昧な為、読み手は置き去りにされやすいでしょう。描写などは細かく書かれていて想像しやすいです。少し多い気がするくらいでしょうか。もう少しキャラクターの心理描写、設定を丁寧に描くことが出来れば面白い作品になるかと思います。(秋月くらげ)

他のレビュアーのコメント:構造としては面白い。幼い頃に出会って恋に落ちた二人が、それぞれ策略を弄した結果結ばれる。こう書けば実に必然的なシンデレラストーリーなのだが、そこに悪女として積み上げた屍と犠牲にされた民草、洗脳といういくつかの黒い要素で存分に漬け込んでいる。ラストを「勝者の紡いだ歴史」として綺麗に見せるのもおとぎ話の両面性らしい。一方で、細かなところでの不足が目立つ。全体的に起こっていることはわかっても、何故、どうやって?という部分がわかりにくい、理由、経緯の説明不足が否めない。おそらくもっと文字数、展開が必要な物語なのではないだろうか。魔法といった要素に重要な場面を任せるならば、それを活かしてもっと削るのもありだろう。(えくぼ)

スーパーヒーロー大好き! https://
ncode.syosetu
.com/n9478dx/
恐怖院怨念

感想:前作と変わらず、誰にでも読みやすい平易な文章で可愛らしいキャラクターが活躍する読んでいて楽しい作品でした。しかし、キャラを引き立てる演出や続きが気になるようなストーリー構成などの作り込みが甘く「読みやすくスルスルと読めるが、二回読みたい!と思わせるほどではない」という印象を受けました。ストーリーの本筋には関係ない余分な情報も多く、ポップな世界観を作るためだとは思いますが「ひょろ像くん」という情報は必要だったのか、わざわざ読者に負担のかかる固有名詞を登場させてまでパロディをする必要はあったのかという点も疑問に感じました。(ナロラボ) 

他のレビュアーのコメント:突然得た力を人助けのために使う、というシンプルなヒーロー物語。ヒーローという題材は男性ウケしやすいものなのだが、一方で遥香のキャラクター性からなる動きは男性ウケしないのではないだろうか。彼氏にきついことを言われてもまだ好きでいて、まだ好きなのに金持ちだという理由であっさりと幼馴染を頼って泊まり込む。理屈的に仕方のないことだ、と言うのは簡単だが、もしもラストで健を意識していなければ無自覚に男を振り回す女になっていただろう。文章はライトで読みやすい一方で、緩急、力の入れたほうが良いのでは? と思われるシーンも。力を得た理由、理屈はないのでそういうものだと割り切って読むものということで世界観は可もなく不可もなくといったところ。(えくぼ)

Hallo! Ween’$ Night! https://
t.co/pOKyx
52K15
 庵乃雲

感想:ハロウィンを元にしたある種の二次創作(オマージュ)的な性質を持つ作品。こうしたタイプの物語には「元ネタを踏まえること」「新たな視点を与えること」などがあると盛り上がる。この作品では「お菓子を与える魔女」「イタズラをするカボチャの魔女」の二手に分かれて「そうであるからそう見られる」という怪異、怪物などの物語によくある要素を盛り込んだ。季節感のある短編。しかし描写が前後や背景、性質を踏まえないものが多く、起こっている出来事のみから何故起きたのかどういう意味を持つのかを読み取る必要があった。読み直しが求められる。また、ストーリー的に必要だろうか、と思われる場面も。削るか必要なものに昇華するかで読みやすくなるのではないだろうか。(えくぼ)

他のレビュアーのコメント:短編としてうまく纏まっていると思います。小説の技術もあり、読みやすくはあります。ただ、文章の言い回しに同じような言葉が多く使われているので、少し飽きが来てしまいます、表現の幅も狭いので、まずは色々な表現力をつけてみてはいかがでしょう。題材、展開は良いので、それをもう少し深く丁寧に書き込んでみても良いでしょう。(秋月くらげ)

底辺作家、三井照雄。その理想と現実 ~コーヒーとめんつゆの違いが分かる男~ https://
ncode.syosetu
.com/n2949ei/
 Hiro

感想:読みやすいだけの描写と説明がしっかりとされており、それぞれのキャラについても把握しやすい。文章面では十分以上に良い。一方でラブコメとして見ると単なる失恋、創作として見ると最初から一度下がって、ゼロに戻るというタイプのよく見かける「創作の元々の目的を思い出した」系の作品。エッセイとかでもよくある。この手の話は身内ネタ、メタネタであるために一定需要は安定するがそれ以上になると急にそれ以外の工夫と技量が求められる。その点ではマスターの件など前フリはあるが、オチはあまり意外性がない。物語を書く基礎技術については言うことはない気がする。あとはストーリーやネタ、オチなどの作る時の構造、パーツ面について詳しく語るには文字数が足りない。(えくぼ)

他のレビュアーのコメント:「Web小説を書くということを小説にした」という発想がとても面白いと思ったのですが、それは「小説を書く技術」とは別モノなので評価とは切り離して考えました。小説単体としてこの作品を読むと、Web小説に関する専門用語を「知らない人向けに解説するのか、知ってる人向けにしかしないのか」が中途半端だったのがもったいないと感じました。これが例えばYoutuberやPixivの絵師を題材にした作品だと考えたとき「平均的な創作者像」を知らない読者のためにはもっと最低限のところから説明を書かないと分からないはずだと思ったのでので「まずこのサイトの最終目的はなんなのか」「ランキングに載るとどんな良いことがあるのか」等の説明はもっと丁寧に書くべきだと感じました。「主人公は平均的な創作者像に対してどういう立場なのか」がよりハッキリすれば、読者が物語に対してより没入感を感じて読めると思います。(ナロラボ)

急募! 邪神の左腕!! https://
ncode.syosetu
.com/n6538ei/
 みぬま

感想:読みやすくコミカルなキャラクターが活躍するメタ要素の強いのRPG小説。作者さんの得意なワチャワチャとした雰囲気の楽しい世界観が詰まった作品だと思います。特に苦労人のツェトリ様のキャラクターが個人的には好きでした。キャラクターの掛け合いは非常に面白かったのですが、登場人物が多くそれも全員が様々な目的を持っているので物語の着地点がなかなか定まらず、話がなかなか終わらない印象を受けました。短編というより短編連作的です。しかしこの情報量を一万五千字に収めたのは素晴らしいと思います。作品自体は面白いのでナロラボ杯的な枠組みにとらわれなくてもいいと思います。自信を持ってください!(ナロラボ)

他のレビュアーのコメント:小説についての技術が最低限あるので読みやすくはあります。ただ、展開が早く、書きたいことは分かるのですが、丁寧さがなく、勿体ないと感じます。あまり挑戦したことのないジャンル、と記述していたので、未完成な部分が多々あります。確かにコメディではあると思いますが、構成、文章のリズムの悪さが目につきます。なので小説に対する高揚感があまりないです、まずはジャンルに挑戦するよりも、小説のリズムをうまく使うことが大切かと思います。(秋月くらげ)

無欲少年と3つの願い事 https://
ncode.syosetu
.com/n4731ei/
 神崎 月桂

感想:メールをクリックして、謎の精霊が出てくるという描写にワクワクさせられました。画面の動きやノイズ音、電池残量や時刻の微小な動き等で不穏な雰囲気にさせた後に不思議な動物が出てくるという冒頭には初代デジモンを思い出しました。問題は「主人公が無欲である」という部分に対してわずかな理由付けもないことです。「願いをかなえると言っているのに全く人間らしく答えない」というギャップを生かした面白さを描きたいのだと思いますが、視点人物の思考が読者に理解できないと物語への没入度が落ちてしまいます。逆視点であれば問題ありませんが、サイコパスを視点人物に置くのであれば、その思考を読者に分かりやすく説明するとより良い作品になると思います。(ナロラボ)

他のレビュアーのコメント:日本語として違和感のある表現、誤字脱字、文章作法ミスなどが目立ち、全体的に文章そのものが読みづらい。また、願い三つのうち二つが「主人公のキャラを把握するため」だけに使われ、オチやギミックとの関係が弱い。主人公は一般的教養と感性とのズレがあることで、「普通そのたとえはおかしい」といった引っ掛かりがちらほら。個性的だ、といえないでもないが、そうなった経緯についてがないと「変わった人が語り手だな」と。また、最後の願いが明示されなかったこともあり、「変わらぬ日常」に戻ったことで短編通しての結論が「主人公は無欲なんだな」止まりなのもオチとしては弱い。無欲であることはタイトルからわかるためそれ以上が欲しい。精霊のバックも不明だった。(えくぼ)

C評価 (15.5未満~10以上)

逡巡 ―後北条戦記夜話― https://
ncode.syosetu
.com/n3109cu/
 大本営

感想:歴史小説は評価が難しいもので、知識のない人に説明することと、わかる人にくどくしないこと、そのバランスで読みやすさというのが変わる。私はどちらかというと歴史について詳しくないと自負しており、もう少し噛み砕き情報を絞るか、詳しく丁寧に一から説明してもらわないと読みづらいのであった。たとえばやや一般的ではない歴史用語を一つの文章の中に三つ以内におさめる、などが一つのやり方だろう。語彙は豊富で世界観にあった硬い文体できっちり書いていると思われる。序盤はキャラよりも世界観、情勢など理屈に焦点を当てた描き方をしている。評定がどのように戦に影響を与えたか、歴史の一場面を切り抜いてこうだったらと描いたアイデアと雰囲気、世界観は非常に良い(えくぼ) 

他のレビュアーのコメント:かなり主観的な指摘をします。時代小説は同じ出来事でも「作者がどう演出して、どの史実を元に話を切り取るのか。存在している資料を元にどうキャラクターを書くか」が面白いのであって「史実を忠実に書いている」だけでは小説の評価としては「並み」という評価しかできません。この作品は文章がそれらしいだけで肝心の切り取り方の工夫が少し弱いと思います。一万五千字制限で「会議による交渉戦」を書くのは難しいとは思いますが「家臣(大勢)の視点」「全体を外から見る神の視点」「氏綱の視点」「氏康の視点」……少ない文字数にも拘わらず、あまりに視点が多すぎて読みづらいです。カメラが固定されていないので「この作者の書く氏康はどんな氏綱なのか」など、歴史上の人物をどう書くのかが分かりませんでした。また「どんな服を着て、どんな仕草が多くてどんなクセがあるのか」というデフォルメ化がないのは、プロの時代小説にもあまり見られない書き方だと、これまで読んできた時代小説と比較して思います。加えて直接表現で考えていることを地の文で書き過ぎて、「ただ説明が流れているだけ」の状態になっています。これは会議の緊張感の描写ではなく「会議の実況解説状態」なのでもっと五感、特に視覚を使った描写を書いた方が分かりやすいと思います。全体的に「時代小説っぽさ」や設定を書くことに必死になって作者の脳内で視覚描写が完結している作品になっていました。史実を書くことは「世界観」ではありません。魅力的な設定を「文章と演出」によってどういう雰囲気にするかが「世界観」です。このジャンルのこの題材を「短編で」書くこと自体非常に求められる小説としての技術水準が高いのですが、「WEB小説にはファンタジー以外にも名作が多い」と言うためにはマイナージャンルにこそ「っぽさ」ではなく「他人にどうすれば楽しんでもらえるか」を細かく考えてほしいと個人的には思います。ただし、私自身WEBでアマチュア時代小説を読んだことがないのでこれがアマチュアの中で上手いのかは判断がつきません。また、ジャンルがどちらかというと「歴史小説」に分類されると思うので、時代小説を剣豪小説や伝奇をメインに読んできた私の指摘は大きく誤っている可能性があります。しかし、個人的には「時代小説だからしょうがない、ジャンルがWEBでウケるものじゃないからしょうがない」と言ってほしくないと思ったので字数を無視して元々の文章を省略せず、かなり厳しく指摘しました。文章を書く力自体はある作家さんなのは読めばわかりますし、調べものはきっちりされていて素晴らしいと思うので「ジャンル関係なく誰が読んでも面白い」と言わせるだけの可能性はある作者さんだと思います。難しい挑戦だと思いますが、頑張ってください。(ナロラボ)

幼馴染み以上、恋人未満(併合版) https://
ncode.syosetu
.com/n1881ei/
 三崎 悠弥

感想:文章はライトで読みやすい。惜しいのが構成だろう。書いている場面の中ではキャラは描けているのだが、書いてない場面に欲しい部分が個人的にはあった。惚れた理由があったのは良かった。また、TS派閥の一つ、つまり好まれやすい形の「葛藤しながら男に惚れる」に属するのだろうが、葛藤、戸惑いのシーンが短編であるため十分に書くのが難しそうだった。構成に難がある。というのもこれは名前からしておそらく二つの短編をくっつけたのだろうと思われるが、バレンタインと結ばれる本番のホワイトデーの繋ぎが甘い。物語的には直結しており、しかし間に1ヶ月挟まっているという特殊な構造だ。その時間の流れの感覚のズレと、物語的な繋がりを出し切れていない印象。(えくぼ)

他のレビュアーのコメント:TS主人公による一人称小説。終盤の心情吐露のシーンは熱が入っていてとても良かったです。短編小説では表現が難しい「男性的な思考回路が徐々に女性的になってしまう」「友人を異性として好きになってしまう」という描写に挑戦した意欲作でしたが、残念ながら登場人物の行動への根拠づけが弱く、急展開と内輪ノリのようなものを感じてしまいました。少々キャラの行動にリアリティがない、あるいは「作品に見合った最低限のリアリティを感じさせる工夫が少ない」ように思います。しかし、これは私の恋愛対象が異性のみを見ることしかできないゆえかもしれません。

 

鈍感少女の恋 https://
ncode.syosetu
.com/n5111ei/
 Yuyu*

感想:初恋の女の子が、社会人になって突然家に押しかけてくるというシチュエーションを書いた百合モノ。読んでいてニンマリするようなキャラの掛け合い が楽しい作品でした!個人的に物足りないと感じたのは「1日目」と「あれから数ヶ月が過ぎて」の間のエピソードが描写されておらず、展開が急に感じるという点です。会話劇でオチを全て説明していましたが、欲を言えば「行動だけで相手の好意を察することができる」描写やイベントを間に挟んだ方が「読者は気づいているのに主人公は気づかない」という鈍感さを強調できたのではないでしょうか。しかし、作者さんの描きたいものが詰まっていて良かったと思います!(ナロラボ) 

他のレビュアーのコメント:設定が粗削りな部分が多いです。話の筋が大体わかってしまい、予想通り、なので構成は低くつけました。表現の豊富さについても下げています。もう少し心理描写など比喩表現など色々な技法を使ってみてはいかがでしょう。読みやすさはありますが、すらすらと読めるので、頭に残りにくいです。展開が突発的なことが多いので、もう少し作り込み、考えてみてはいかがでしょう。短編としてのまとまりは良いので、後は工夫と展開次第で良い作品になると思います。(秋月くらげ)

こちら転生管理局記録課! https://
ncode.syosetu
.com/n8418ed/
港瀬つかさ

感想:セリフはその場での会話が多いことに対して、地の文は事実や経緯を説明する文章が多い。これが読んでいて両者で時間の流れが違うと感じる。口語的な表現も混ざる砕けた三人称。説明そのものは読みやすく、ストーリー理解のために必要な文については充分あった。難解、独特な表現もほぼなく読みやすくはある。本来、物語の中心の「新人」は直接登場せず、出てきた「職員」は顔の見えないその他大勢として描かれる。間接的に彼女の性格を把握させる特殊な構造だった。みんな楽しそうだ、と思えるのは良い。しかしキャラ単体の魅力では物足りなかった。世界観については組織としてはよく出来ていて面白いが、異世界作品に慣れていないと分かりにくいだろう説明が惜しい。(えくぼ)

他のレビュアーのコメント:設定を理解させるために必要な説明の量が膨大になり、1万5千字以内でストーリーのある短編を描けていなかったという印象です。具体的な仕事の描写を通してキャラが転生者に対して行う仕事がどう辛いのかを読者に伝えるのであれば、ナロラボ杯の仕組みとして加点できますが「お約束的設定をどのような仕組みで実現させているかの説明を楽しむ」という、いわば”空想科学読本”のような面白さは個人的に小説としての面白さとは別モノなので加点要素なりませんでした。そのうえで、空想科学読本的な観点で個人的な評価を申し上げると、局の人間の知識と世界観が異世界寄りなのか地球寄りなのか、どちらに対してメタ視点なのかの統一がなされていないため「どのメタ視点で楽しめばいいか」が中途半端になっている印象を受けました。(ナロラボ)

つまようじ https://
ncode.syosetu
.com/n5412ei/
 ぽて

感想:面白そうという理由からか、詳細不明な設定がちらほら。それらが前フリなく出てくるため、展開が唐突に感じられる。魔族とは?なぜ封印されたらそのような形に?などなど。呪いを解くのに強い想いがあるわけでもなく、苦労や困難といったものも強くは描写されない。封印の前兆が、見つけた妙なもの、立て続けに起こる災難と目新しさはないため、描写に左右される。すごい奴がつまようじにされてたら面白そうという一発ネタをそのまま出してきた印象。もう少し工夫が欲しかった。  文章はその都度必要な説明と何が起きているかわかる程度の描写と読みやすいし、わかりやすい。三人称でありながらセリフを地の文に混ぜる手法は、必要がなければ普通にセリフでも良いとは思う。(えくぼ)

他のレビュアーのコメント:読みやすくはあります。ですが表現力、設定などを意識してみると甘い点が目立ちます。一度設定を作り直し、深く理解することが出来れば面白くなるかもしれません。もう少し自分が何を書きたいか、何を面白いかと意識して書いてみればよいかもしれません。キャラクターに関してはブレがあり、掴むことが難しいです。構成は短編としてまとまっているので、これからどう幅を広げて小説を深めていくかが課題になるでしょう。(秋月くらげ)

俺はヘッポコ霊媒師 https://
ncode.syosetu
.com
/n5029ei/
 忍者の佐藤

感想:この短編は一つだけ他にはなかろうものがある。文章をしめる大半が空白そして改行でリズムのすべてを整えられて、七五調になっている。意図はわかるし興味深い。しかしながら惜しいのがテンポのための犠牲者だ。倒置法に反復法、使われている方法が、伝わる説明・表現や過不足のない描写など読者のためになっていない。無理にリズムを合わせれば違和感のある文もあろう。それでも文字が合わぬのか、リズムの崩れた場所もある。高い評価をつけづらい。小説らしくないとも言える。ストーリーはシンプルで、キャラの動機はわかりやすい。依頼を受けて解決し、それに対する報酬と、終わったあとのシメは良い。引き込むためにやることは、自然な文と情報と、やりとりなどの整理など。(えくぼ)

他のレビュアーのコメント:ラップ調とも言い難い独特の文体で、ストーリーが進んでいくのが特徴的な小説でした。凄まじいインパクトはありましたが、それが「新しい技法で面白い」に昇華するにはまだまだ工夫が足りません。文字数あたりのキャラ数が絞りきれていなかったり、不必要なシーンが多く存在しています。特殊な技法を使っていなかったとしても、短編として致命的な程です。加えて「***」を利用してシーン切り替える数が多いので、技法に慣れる+激しい場面切り替え+内容の把握という三つのことを読者が同時並行で進めなければならないのは読者に大きな負担になります。特殊な文体ゆえ参考小説としてあまりオススメはしづらいのですが大間九郎さん(特にファンダ・メンダ・マウス)や舞城王太郎さんの小説等は作者さんのやりたい小説に近いかもしれません。(ナロラボ)

吸血公爵VS怨霊 https://
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.com/n4357ei/
 桜介

感想:読みやすくはあります。ですが小説独特の丁寧な文章が少ないので減点しました。これはスピードのある物語なので、それを意識して書けば面白くなると思います。設定の甘さ等も気になりました、作り込めるものでありながら、物足りないと多々思います。もう少し文章を丁寧に書きあげてみてはいかがでしょう? ですが短編の気軽さはあるので、「ちょっと小説を読みたい」時には良いでしょう。まとまりも荒いですが出来ています。後はどう設定を生かすか等課題はあるでしょう。(秋月くらげ)

他のレビュアーのコメント:単語選びをもう少し考えるとより良くなると思います。例えば「私に血を吸われると、この世で体験できない程の強烈な快感が全身を襲う」という文章、全身を襲ってる時点でこの世で体験できてしまっているのでもっと適切な表現があると思います(吸血鬼がこの世のものでないという意味も含めていると思いますが、にしても、です)。また吸血鬼の一人称視点なのに「快感が襲う」が女性の体験なのは視点が明らかにブレているので「快感に関する推測」くらいで抑えなければならないと思います。上記のような違和感ある表現が他にも大量に見つかったので、描写力がまだ作者さんの考える映像を適切に文章にする段階には至ってないように感じました。まずは本をたくさん読んで、作者さんの表現のストックを増やすとより良い小説が生まれるのではないかと思います。(ナロラボ)

個人賞

さてここからは個人賞の発表に移ります。

ナロラボ賞(平均点トップ賞) :

ポニーテールは超能力と共に https://
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 三衣 千月

平均得点トップ賞です。
作者さんには「SKIMAココナラで短編小説に出てきたキャラクターのSNS用アイコンを描いてもらう」もしくは当サイトにて「該当短編小説の解説記事」か二択で選んでいただきたいと思います!おめでとうございます!
※「解説記事」のサンプルはこちら

えくぼ賞:該当なし(最高得点は天国列車)

秋月くらげ賞:該当なし(最高得点はポニーテールは超能力とともに、天国列車が同列)

評価の最後になりますが、今回評価を公開された全ての作者様、そして評価レビュアーとして協力してくれた二人には心から感謝を申し上げます。

また評価の仕方等の質問には答えられません。

個人評価S作品・各レビュアーの評価一覧の発表は後日させていただきます。

総評は19日の「プレーオフの結果発表」後におこないたいと思います。