ナロラボ賞作品「ポニーテールは 超能力と共に」を読むのがもっと面白くなる!おすすめポイント3つ!!

ナロラボ賞作品「ポニーテールは 超能力と共に」を読むのがもっと面白くなる!おすすめポイント3つ!!

※これは第4回ナロラボ杯におけるナロラボ賞の小説紹介になります。

皆さんこんにちは!

今回は「第4回ナロラボ杯」の参加作品
三衣 千月 さんの「ポニーテールは 超能力と共に」を読むのがもっと面白くなるポイントについて」について書きたいと思います。(以下、ポニーテールで紹介を統一)

管理人が自分の小説の勉強になるように記事を書きました!
 ※この記事は「ポニーテールは 超能力と共に」のネタバレを含むものになりますので、ネタバレが嫌な方は先に小説を読むことを推奨します!

今回のポイント

このポニーテールは 超能力と共にという作品、ど直球のライトノベルなんですけど、
個人的な印象としてはWebで流行るタイプの「サクサクとした読み味の作品」ではなく、
どちらかというと「作りこまれた設定や文章をじっくり楽しむ」作品だと思いました。

文体も、ストーリーやキャラを素早く消費できることに特化した文章(読み飛ばしても内容が把握できるくらいの分かりやすさ)ではなく、一文一文が作りこまれています。特にセリフや地の文が自然さ重視ではなく「良い意味で芝居らしく」演出されるところが個人的には好きでした。

作品の内容を簡単にあらわすと「生徒間の問題を、ちっちゃな超能力を使える学園の何でも屋さんが解決する」というストーリーです。「超能力×学園」ということで、2000年代後半のファミ通文庫から出ていた作品群が好きな人は気に入るかもしれません。爽やかな読後感が特徴の「青春モノ」になります。

あらすじはここまでにして、まずはこの作品の構成を分解してみたいと思います

ポイント.1 作品を三幕構成で分析してみた

この作品、どんでん返しみたいな派手さはないですけど、構成がめちゃくちゃ綺麗なんです。

うまく出来ているかわかりませんが、以下は三幕構成的に作品を分解した結果です。
(勉強中なのでまちがっていたらすいません。三幕構成に関しては本で勉強するのが一番なんですが、検索かけたらWikipediaに軽い教材レベルの情報が載ってたので、知らない方は読むをおすすめします→三幕構成
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第一幕(設定)
【オープニングイメージ】
1.冒頭300文字-話が始まる前の先輩の雰囲気を示す

【セットアップ】
2.冒頭~依頼主の登場・依頼-前提的な物語の雰囲気の提示
(都市伝説的な扱いをされる二人組、ペテン師のキャラ見せ、事件の始まり)

【ファースト・ターニングポイント】
3.事件の概要を聞かされる~廊下先輩が笠置を連れていく
(事件の原因である笠置と接触することにより、ようやく問題の解決にとりかかり第二部へ)

第二幕(対立)

前半
事件が起きた理由が「笠置の能力」だと状況が明かされる。
また、ここで廊下先輩が「人の心を読むことができる」という能力を保持していることも明かされる

ミッドポイント(主人公が窮地に陥り、ストーリーが方向転換する)
笠置が「能力の解除方法を知らない」ということが判明し、事件が事実上「解決不可能」な状況へ陥る。
→物語が「彼氏を元に戻す」という展開にはならないことが示される。事件の解決から[依頼の解決]へ。

後半

「大切なのは、そこから先だ。
 己を恥じてはいけない。流されてもいけない。
 いつでも自分を最もよく知るのは自分だ。
 君はもっと、堂々としていればいい」

上記のセリフから廊下先輩が依頼の解決方法を見つけ出していることが判明。
ここでペテン師の「僕も心を読まれて長いけどさ。」というセリフが出ることで、
話の焦点が「事件」から「ペテン師と廊下先輩の関係性の進展」へスイッチしやすくなっている。

セカンドターニングポイント

事件の解決。廊下先輩が出会った三人の心を読んだことで
「彼氏と依頼主の笠置への思いが恋愛感情ではなく、崇拝的なものである」と分かり、交際が再開するところでストーリー終了……

かと思いきや、「ペテン師」に関する叙述トリックが明かされ、ここからタイトルの伏線回収が始まる。

第三幕(解決)

【エンディング】
1.サボテンを育てている理由や廊下先輩の信念の説明。ペテン師の感情の示唆。
→物語がどう着地するかをうっすら提示する。

【ファイナルイメージ】
2.物語を通してオープニングイメージ時点の先輩とポニーテールの関係性が少しだけ変わったことが、
サボテンの花が咲くことで示される。

※内容的に変わったと断言はできないですけど、見せ方としては変わっているように読めますという話。

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三幕構成のお手本かよと思うくらい綺麗な構成をしています。
終盤でタイトルの「ポニーテール」「超能力」が人物の愛称を指していたことが分かり、「共に」の意味が分かる、、、、すげぇ。

正直分解するまで、こんなにピッタリ当てはまってるとは思いませんでした。
余分な箇所とか、説明できないところとかが出てくるかと思ったんですけどむちゃくちゃ綺麗にまとまっている……。「すごい」としか言いようがない笑

勝手な印象ですが第四回ナロラボ杯のナ・リーグに参加した作品はプロットに肉付けするというよりも、
一文目を書き始めてからストーリーを考え始めてる」というタイプの作品が多く、ゆえにうまく話がまとめきれなかった印象の作品が多かったです。

そのため「綺麗な構成をしている作品はそれだけで有利」な回だったのですが、
これは第四回とかではなくこれまで参加した120作品の中でもトップクラスに綺麗な構成かもしれません。
様々な方に「作品の締め方が綺麗」と言われてましたがそりゃそうですよね……。

「廊下先輩の能力が生かしきれてない」印象や
「事件の解決が主人公の変化に直接関与しない」点が、
人によっては「二つの話が分離し、設定を詰め込みすぎている」と感じさせるところではありますが、
それ込みでもここまで綺麗な構成に落とし込んでいることに拍手したくなります。

ポイント2 社交的でずる賢い「ペテン師」というキャラクター

過去にナロラボ賞(平均点トップ)を獲得している作品にある共通点に「キャラクターの評価が高い」というポイントがあります。例に漏れず、今回のポニーテールも非常にキャラクターが作りこまれています。

私がお気に入りだったのは「ペテン師」のキャラ。
まずは以下の序盤における依頼者とのやり取りのシーンを読んでほしいんです!

「さて、と。依頼は彼氏の説得かあ。
 廊下先輩が苦手なヤツだ。こういうのは僕の出番だね」

 女生徒が目を丸くする。どうして、何も言っていないのに分かったのだろうか。噂話を紐解いて知ったように、本当にこの人たちは超能力者なのだろうかと声が出なかった。
 彼女がどうしてと聞く前に、不動の彼が言った。相変わらず、ずっとサボテンに手をかざし続けている。

「勘違いしないで欲しいんだが、ペテン師に超能力は無いぞ。
 そいつは単に憶えているだけだ。全校生徒のゴシップやら噂話をな」

 だからこそのペテン師。人の弱みに付け込むことも、心の死角を突くこともお手の物だった。ペテン師はあえてゆっくりと言う。

「なんでばらすのさ。確かにそうだけど。
 でもね、君がすごく悩んでいるのは分かる。
 髪の毛やお肌を見れば睡眠不足だと分かるからね。
 それに、君は僕と話す前に下唇を噛んだ。言いにくいことだって証拠さ」

ここ、良いですよね!!

ナロラボ杯で評価されやすいキャラクターは勝手な想像ですが「性格をより魅力的に伝えるために外見や動作の描写等で演出していく」という部分がしっかりしていました。ポニーテールの「ペテン師」もそれに当てはまっています。

ペテン師の特徴は、そのあだ名の通りの「うさんくささ」。
「わざとらしいセリフまわし」だけでなく、手の動きや表情の作り方等、細かい描写でキャラクターが演出されている部分に上手さを感じました。「社交的で交渉が得意なキャラクター」を書いてみたいと思う人には、ペテン師に関する細かい演出は参考になるはずです。

いやーこの短編だけで登場が終わってしまうのがもったいないキャラですよね。

ポイント3 軽妙な会話文

ポニーテールは、
前述した「ペテン師」と超能力者の「廊下先輩」のキャラクター二人が、協力して事件を解決する「ミステリ風作品」です。

人をだますのが上手」なペテン師と「人の心を読める超能力を持った」廊下先輩というキャラクターは
「使い方によっては似通った分野の能力」を保有しているともいえるので、キャラ被りせずにきちんと描き分けているのは、なかなかすごいと思っています。

会話文が読んでいてとっても楽しいのでちょっとここを読んでほしいです。

「彼女の情報、調べてあるか」

「もっちろん。僕を誰だと思ってるんだい」

 そう言ってペテン師は調べた情報を朗々と語りだす。
 帰宅部。両親は無し。ニートの兄一人。成績優秀、容姿端麗。周りからの人望は厚く、教師からの評価も高い。志望校は富倉とみくら大学。

「スリーサイズ、いる?」

「いや、事件に関係はなさそうだ。
 しかし、兄の存在以外は何とも完全無欠だな。何か弱点は」

「それが無いんだよ。ファンクラブの連中にも言ってるみたい。
 あんまり大げさに活動しないでくれって」

 渡り廊下の主は「ふむ」と一つ呟いてから、サボテンにかざしていた手を引いて立ち上がった。それを見てペテン師は目を丸くする。


「もっちろん」というセリフや「スリーサイズ、いる?」という言葉がペテン師にとても似合ってますよね。キャラが完成されています。

私はこれまでナロラボ杯に参加した短編作品合計で100作品読んできたんですけど、ペテン師くらいに「キャラクターが生き生きしてるなぁ。作者さん楽しそうだなぁ」と思ったキャラクターはなかなかいないです笑

ナ・リーグで初めて読んだ時から思っていましたが、全体的にポニーテールは、文章から設定まで隙が少ないです。一発ネタ的に人が話題にしたくなる華やかさはありませんが「一文一文がひねられていて、きちんと話を完結させている」書き方をしているのですごいなーと思いました。

まとめ

ポニーテールは 超能力と共にについてのレビューを終了します。
すごくきれいな構成だったのでプロットの作り方とか、作者さんにすごく聞いてみたいですね

最後まで読んで頂き、ありがとうございました!